自閉症の人と
一緒に社会に生きて
一緒に仕事をする。
一般社会人である私たちにもできる
発達障害者支援とは?
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『著者より』
この本には、十年目を迎えた私と自閉症とのかかわりのほとんどすべてを書きました。
まったく自閉症に縁のなかった私が自閉症の人たちと一緒に仕事をすることになり当事者・支援者・保護者の方たちとたくさんの出会いがありました。
理解が難しく個別性の強い自閉症という障害を一般の社会人である私がどうやって理解しようとしてきたか。
そして、「異文化としての自閉症」をどうやって世の中に伝えようとしてきたか。
そして、どこに限界を感じたか。
そして、それでも十年の間に自閉症支援はいかに進んだか。
周囲の自閉症の人たちが、どれほど可能性を花開かせていったか。
それをきちんと記録しておこうと思いました。
これから自閉症の人の就労が進むと私と同じように思いもかけず自閉症の世界とかかわることになる一般の人が増えると思います。
だから、書き残しておこうと思いました。
自閉症の人たちの未来のために。
自閉症の人たちを支援する人たちのために。
自閉症の人たちと未来を共にする一般社会の人たちのために。
この十年、充実した仕事の場を私に与えてくれた自閉症の世界。
少しでも恩返しができるといいと思っています。
そして恩返しにしたいからこそ
「ほとんどすべて」を書きました。
自閉っ子と未来への希望
――一緒に仕事をしてわかった本当の可能性――
浅見淳子 著
1,600円+税
――目次――
● 第1章 偶然の出会い
頑張り屋
アスペルガーって何よ?
ブームの小さな芽
日本人著者たちとの出会い
● 第2章 自閉症理解への長い道
身体編
本人たちが気づいていない
身体的特性に配慮できなかったがゆえの失敗
コストパフォーマンス
セルフ・エスティーム編
ほめなきゃいけないの?
仕事の場面で必要なのは等身大のセルフ・エスティーム
いつでも本音
ファンレターは読みたくない
成功体験というストレス
今のところの結論 自閉症の人のセルフ・エスティームについて
セルフ・エスティームがまっとうな状態とは?
一番不親切な対応は建前
世界の切り取り方編
学校との相性の悪さ
三つのウソ
学校で教えてほしいこと
何が世界の理解を阻んでいるか 1 一対一対応
何が世界の理解を阻んでいるか 2 見えないものは、ない
何が世界の理解を阻んでいるか 3 平べったく見えている
「平べったく見えている」と努力の仕方に学習が必要
「苦手を克服せよ」のワナ
浅見版三つ組みの障害
必ずしも福祉の恩恵を受けられない人たちのために
● 第3章 自閉っ子についてわかってもらおう時代
わかってもらうのは簡単じゃない
セオリー・オブ・自閉っ子マインド
「俺ルール」の誕生
俺ルールって何?
今だから言える目的
「特別支援教育に何を求めますか?」
「本場」(?)の特別支援教育
● 第4章 現場の人々との出会いが教えてくれたこと
意外なリクエスト
放し飼い希望の人とそうじゃない人
わがままに見えるお願い
凡人を目指す努力
セレブ扱いはやめて
定型発達者向けのマナーは邪魔になることも
私という異物
専門家、早く言え
有害俺ルールについて語る
支援の限界に気づく
「学校」に理解してもらえたこと
● 第5章 わかってもらうことの限界
高機能の人を障害者枠に
特別支援教育に対する保護者の不満
成人支援
不毛な構図
自閉症者相手に裁判をする
自閉症者が裁判に巻き込まれないようにするためには
想像力の障害への対処
● 第6章 発達障害は治らないんだろうか
神田橋先生のお弟子さんから連絡が
藤家さんが立ち直った理由
「社会の理解には限界がある」という言葉の重み
神田橋先生との初対面
修行する少年
神田橋先生の本が出た
「治る」ことの光と闇
脳みそをラクにする
● 第7章 新時代へ
頑張れる子と頑張れない子の違い
教師の専門性とは
専門性のない先生とも修行はできる
社会は怖い場所ではない
人と人とのつながり
希望を記録していく